ジュディ・ガーランドの決定打 「オズの魔法使」ファンタジー映画の金字塔 [Judy Garland]
1939年のMGMのファンタジー映画の古典 「オズの魔法使」は公開から79年を経過しても色褪せず、いまだにファンを魅了してやみません。
お話は、農場で暮らす少女が、どこかステキな場所があるはず と夢見ていたところ、竜巻に家ごと飛ばされて、着いた場所が魔法の国だった。いざステキな魔法の国に来てみたら、大好きなおばさん達の居る家に帰りたくてたまらない。
オズ大魔王様に会ってお願いしなさい。と教えられ、途中脳みその無いカカシと、
心の無いブリキ男と、
臆病なライオンに出会い、
それぞれの願いを叶えて貰うため同行し、
悪い魔女の妨害にもめげず大魔王に会う。大魔王の難題に取り組み、見事願いを叶えて貰いめでたしめでたし。というおとぎ話です。
これを、1939年当時の技術を駆使してテクニカラーのミュージカル仕立ての大作に仕立てました。
映画の成功にはキャストが重要です。
これは、諸説あるのですがMGMのスタジオボスだったルイス・B・メイヤーは自社で契約している売り出し中で、才能溢れる少女スターのジュディ・ガーランドにドロシーをやらせる為に権利を手に入れたそうです。
しかし、当時飛ぶ鳥を落とす勢いの少女スターはフォックスのシャーリー・テンプルでした。シャーリーはジュディより5歳年下、原作のドロシーの年齢に近くMGMは、シャーリーを貸し出して貰う為、奮闘したと言います。
ジュディ・ガーランドは容姿の面でまだ疑問符が付いていたと言われていますが、才能はずば抜けていて、歌唱力、演技力共に出来ないことは何もないと、スタジオは解りかけていました。
彼女の歌に太鼓判を押していたのは、ロジャー・イーデンスで、MGMで最初にジュディのオーディションに立会い、その才能を確信した彼は後に、「とても賢く、朗らかで、しきりに人を喜ばせたがる。」とジュディの事を語っています。
その、ロジャー・イーデンスはテンプルの歌を聴きに行き、首を横に振ったと言います。
フォックスもシャーリー・テンプルを貸し出す事を拒否し、結局当時16歳のジュディ・ガーランドがドロシーに決定しました。
顔立ちは、まだあどけなさを残していましたが、太り気味の身体は発達していて、上半身にサラシを巻いて幼さを演出しました。
彼女は卓越した演技力を持っていて、10歳前後の少女の様に振る舞う事が出来ました。
その他のキャストも名優が揃えられました。
オズの国にはマンチキンと呼ばれる妖精達が住んでいるのですが、そのマンチキンに扮する為アメリカ中の小人が集められ、それは圧巻だったといいます。
彼らの中には今も存命の人達も居て、「ジュディのマナーは完璧で、誰に対しても丁寧に接した。いつも人をさん付けで呼んだ。」と語っています。
「リッスン・ダーリン」で母親の役だったメアリー・アスターは「ジュディはまるで子供だった。誰かが面白い事を言ったら最後、笑いだして止まらなかった、撮影は彼女の笑いが止まるまで中断した」と語っていますが、オズの撮影中もそんな事があり、監督のビクター・フレミングは怒ってジュディの頬を叩いたそうです。ジュディは「お返しにキスをあげる」と返したそうですが、フレミング監督は、叩いた事をずっと悔やんでいたと言います。
この1939年は「風と共に去りぬ」もありました。ジョージ・キューカー監督で撮影されていましたが、クラーク・ゲーブルと反目して、やむなく降板。フレミング監督が呼び出されました。
こうして、フレミング監督はオズのカラーパートを撮り終えるや、「風と共に去りぬ」に飛んで行きました。オズのモノクロの農場シーンは、交替後引き受けたキング・ヴィダー監督によって撮影され、完成されました。
あの有名な「虹の彼方に」を歌うシーンもヴィダー監督の仕事です。
風と共に去りぬを降板した、ジョージ・キューカー監督は、オズにも関わっていて、最初に撮られたフィルムを見て、金髪に濃い化粧を施されたドロシーに、カンザスの農場の娘らしさが無いと考え、金髪のカツラを取り、化粧も薄くする様に指示を出したそうです。
賢明な判断ですね。多くの人の知恵と尽力とキャストの魅力で、この映画は生き残りました。
アカデミー賞では、「風と共に去りぬ」に持って行かれましたが、ジュディ・ガーランドは特別賞(最優秀子役賞?)を授与され、人気も爆発しました。
しかし、ここから彼女の過酷な運命は始まったと言えます。休む間も無く働かされ、痩せている事を強要され、食事を制限され薬を与えられたのです。
既に父親は亡くなっており、ステージママの母親は会社の言いなりで、無知もあり進んで薬を飲ませました。
痛ましいことです。
しかし、映画スターとしての彼女は成功への階段を駆け上がって行きます。
次は、「青春一座 babes in arms」です。
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