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予言めいた映画 「渚にて (1959年)」 [映画]

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1959年に公開された映画 「渚にて」
まだ美しかったグレゴリー・ペックと中年の容貌に変わりつつあるエヴァ・ガードナー、まだアイドルの容貌をしているアンソニー・パーキンス、シリアス演技も素晴らしいフレッド・アステア等の主演で、モノクロ。
スタンリー・クレーマープロのこの映画は、とても恐ろしいお話です。

何しろ人類が絶滅するのですから。

舞台は1964年の地球です。
どうやら核戦争が勃発し、スイッチが押されてしまった様子で、すでに北半球の地上には生物の気配はありません。

かろうじて、南半球のオーストラリアに生き残りが集まっていますが、そこも放射能が拡散されてきていて、あと何日かすれば、皆放射能に侵され、生き残りの術はありません。

アメリカの潜水艦が幸か不幸か、遠く離れた場所に潜行していて、難を逃れオーストラリアに着きます。
でも、彼等にはまた任務があって、人類は滅亡しているはずのサンフランシスコから、無電が送られ続けているので、正体を調べるのです。

オーストラリアでは、美女のエヴァガードナーが潜水艦の艦長グレゴリーペックと恋に落ちます。

アイドルの容貌をしたアンソニーパーキンスには赤ん坊が生まれたばかりの新妻がいます。

そして、フレッドアステアは、核開発に加担した科学者なのでした。

みんな、それぞれ事情があり、ドラマがありますが、生き延びる望みを捨て切れません。
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科学者は、人類の愚かさを嘆き、抑止力をうたって核開発競争をしてきたことを、嘆きます。
「核を持てば、結局使いたくなる。誰かが押してしまい、また、そのミサイルに呼応して、別のところからも発射されてしまった。」

こうして、北半球の人類を含む生物は絶滅したのです。

では、この無電は誰が?
意味不明の信号で、読み取れません。

グレゴリーペック達は、再び潜水艦でアメリカに向かいます。
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その正体は……………

この映画が、現実にならない事を祈るのみです。

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川本昭人監督 米寿記念上映会 に伺いました。 [映画]

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去る25日に、広島の映像作家 あの「妻の貌」の川本昭人監督の個人上映会がありました。

ほぼ満席の大盛況でした。
作品は、過去のものですがそれぞれ、とても素晴らしく、楽しいひと時でした。

「蝶々先生 」は まるでディズニーのドキュメンタリー映画を彷彿する美しい映像で、蝶にいたっては、芋虫→さなぎ→羽化 そして羽根が伸びきって美しく羽ばたくまでをリアルに追っていました。

当時の自然豊かな広島の農村風景も素晴らしいです。

「被爆者 テロ跡地に立つ 」は911 テロの跡地ニューヨークでロケをしていて、さらに原爆の映像などを織り込んだ見事な編集で、見応えのある作品でした。

「被爆者 73歳の青春 」は 監督の妻 キヨ子さんの姉で、舞踏家 今谷テツコさんの復活を描いた作品で、これも被爆後の原爆ドームの映像や、当時のテツコさんのドキュメンタリー映像も織り込んだ見事な編集です。
ここにも、反原爆、反戦が静かに訴えられています。

第2部も、美しい自然に生きる人々、
障害に負けず、限りある生を力一杯生きる人々が描かれていて、感動しました。

トリは やはり監督の集大成 家族、とりわけ妻 キヨ子さんを描いた「 妻の肖像 」です。

あちこち、各シーンで客席に笑いやどよめきもあり、人々の共感を呼ぶ素晴らしい作品だとわかります。

この「妻の肖像」の長編版こそが、「妻の貌」であり、この夏 二つの被爆地、広島と長崎で上映の運びとなりました。

私達 ガルボも応援しております。クラウドファンディング レディフォーにて、広島、長崎を結ぶ「妻の貌」上映会とガルボの平和コンサート のご支援を募っております。
https://readyfor.jp/projects/garbo
是非、ご支援をよろしくお願いいたします。

それから、この上映会は広島エイト倶楽部さんの主催でしたが、私達の
広島 長崎を結ぶ 妻の貌 上映会と平和コンサート に沢山のご支援を頂きました。感謝にたえません。

image.jpgimage.jpg 広島テレビさんの取材を受ける 川本昭人監督 放送は5月1日午後6時からだそうです。

image.jpg クラウドファンディング レディフォーにて、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。https://readyfor.jp/projects/garbo






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グレタ・ガルボ「 奥様は顔がふたつ」のルンバ [映画]

ハリウッドの伝説 神聖ガルボ帝国 と呼ばれたグレタガルボは、悲劇の似合うスターでした。
スフィンクスのような氷の美貌。いつもむっつりした表情で人気を博しましたが、
引退する前二作で、喜劇にも良い味を見せました。
「ニノチカ」と「奥様は顔がふたつ」です。
ニノチカは、喜劇の天才エルンスト・ルビッチ監督
過去のガルボのキャラクターをパロディ化して、笑わせます。映画の宣伝文句は、「ガルボ笑う」
でした!
実際、随所で爆笑出来る洒落たコメディです。

さて、次回の第40回魅惑の映画音楽では、ガルボの最後の映画「奥様は顔がふたつ」から彼女が踊るルンバ、チカチョカを取り上げます。
この映画も、コメディで、スキーをしたり踊ったり、ニューガルボを見せました。
宣伝文句は、これまた「ガルボ踊る」だったのです。
MGMで振り付けをしていたロバート・オルトンは、彼女のダンスを絶賛しました。
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映画 『無法松の一生』1943年 大映 を観ました [映画]

無法松2.jpg無法松.jpg先日、映像文化ライブラリーで上映された『無法松の一生』を観ました。
戦前(戦中?)の邦画の中でも名画と呼ばれているものですが、やっと見ることが出来ました。

さすがに70年前の作品。画面がぼやけて、スクリーンを目をこらして(@@)見てもピントが合いません。 私の目も、最近ピントが合わないので、そのためかと思いましたが、実際にぼやけていたようです。

しかし、数分と経たない内に、ぼやけた画面など気にならないほどに、引き込まれました。

「これが娯楽映画だ!」です。

阪東妻三郎の声!表情!闊達な動き! 成る程これが阪妻さんか。と納得しました。

車屋さん(人力車夫)の松五郎は、沢山の武勇伝を持つ喧嘩っ早い男ですが、非常に心優しく、義侠心を持っています。

ある日 機嫌良く鼻唄まじりに車をひいていると、竹馬遊びの少年達が。

笑顔で通り過ぎると、けたたましい泣き声です。 何事かと引き返し、怪我をした少年を助けて家に送り届けます。

そこが、彼の半生を捧げる事になる吉岡大尉一家でした。

松五郎は、後に未亡人になってしまう吉岡夫人(園井恵子)と少年に、無償の愛を示します。

その一部始終が、温かく、魅力的でした。

この映画は、どうしても原爆に散った「桜隊」の園井恵子さんに対する先入観で見てしまうのですが、それを忘れるほどの素晴らしい娯楽映画に仕上がっています。

「吉岡夫人を演じるために生まれた」と言わしめた 園井恵子さんの清楚な美しさ、存在感は見事でした。

広島の爆心地730メートルの至近距離で被爆しながら、無傷で助かり、神戸まで逃げ延びる事が出来たのに、急性放射能障害で33歳の若さで亡くなられた事が、残念でなりません。
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映画 『ひろしま』 [映画]

SBSH0755.JPG一昨年、 八丁座のフィルムマラソンでも上映されましたが、去る7月15日 広島県立美術館 で上映され、原作者、長田新氏の奥様、この映画の監督補佐だった小林大平氏の子息で、「奇跡への情熱プロジェクト」代表 小林一平氏もお話に来られました。

原作は長田新著の「原爆の子」広島の少年少女のうったえ という本です。
同じ原作をもとに、新藤兼人監督は「原爆の子」を作りました。


原爆に遭った子供達の体験を編纂したこの本は、こうして二本の映画になりました。

「ひろしま」は1953年に制作、広島に巨大なオープンセットを組んで撮影したそうです。市民のエキストラは8万8千人

監督は関川秀雄 音楽 伊福部昭

出演は月丘夢路 岡田英次 山田五十鈴 加藤嘉 他

非常に大掛かりな作品になり、55年のベルリン国際映画祭 長編映画賞を受賞しました。

話は現代(53年?)から始まります。授業でエノラゲイの搭乗兵士だった人物が、当時を回想するラジオ番組を聞いています。そこには重大な(破壊と殺戮)に向かう兵士の迷いや後悔、恐怖が語られました。途中生徒の少女が鼻血を出して倒れます。被爆者の少女です。

保健室に運ばれた少女は白血病でした。見舞いに来た少年達が、あるドイツ青年の手記を音読します。そこには 「アメリカが日本に原爆を落とし得たのは、黄色人種の国だったからではないか?」「自分が白人だからこそ、敢えてそう感じると白状する」等書かれていました。

それから岡田英次演じる教師と生徒達が、授業で話し合います。被爆者の生徒とそうでない生徒 お互い解り合おうと。

そして あの悪夢の日が凄いスケールで再現されます。血みどろの阿鼻叫喚。建物に挟まれ助け出せないまま炎に焼かれる人達。倒れる馬、熱風を逃れて川に入り力尽きて沈む人達

再び 現代に戻り 原爆孤児の少年が高校を辞めて働いています。が 彼はせっかく勤めた職場が軍需産業になるや辞めて、まだ幼い孤児達を誘って、似島(にのしま)の遺骨のしゃれこうべを観光客に売っているところを補導されます。

この映画は、大手の配給会社から全国展開するはずでしたが、3ヶ所 カットを命じられ、拒否したため大手配給が無くなったそうです。

カット場面とは エノラゲイ 搭乗兵士の回想音声

ドイツ青年の手記の音読
しゃれこうべ販売 の3ヶ所でした。

実際 これらをカットしては価値が半減するでしょう。断固拒否した決断は今では正しかった。

貴重な映画です。
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グレタ・ガルボの『アンナ・カレーニナ』 [映画]

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塩崎雪生氏 著 の『氷の福音』でも引用されていますが、トルストイの「アンナ・カレーニナ」は人間の幸福、不幸について、よく考え考えさせられます。

私がこの小説を読んだのは、大昔ですので記憶も曖昧ですが、何度も映画化されていて、幾つか見ました。最初に見た映画は、ロシア(旧ソ連)のタチアナ・サモイロワがアンナを演じたカラーでした。情熱的なアンナで、泣き顔も麗しい記憶しかないのですが………

次がグレタ・ガルボの35年のトーキーです。ガルボのアンナは、はまり役なのかサイレントにも2回作られました。

確かに「希代の悲劇女優」といわしめたガルボですから、ラストの列車に飛び込むシーンの絶望感だけでも、素晴らしいものがありますね。(写真)
不倫相手の恋人ウロンスキーは美男スターのフレデリック・マーチ。彼は息の長いスターで、戦後も活躍した名優です。

カレーニンは、ベイジル・ラズボーン 損な役まわりですが、彼はあの剣劇スター、エロール・フリンの好敵手として颯爽としたスターでしたね。

キティ(アンナの儀妹?あれ?兄嫁の妹?)はモーリン・オサリバン。ターザン映画のジェーンでした。

アンナと夫カレーニンには息子セリョージャがいますが、ガルボは、実に愛情深く接するのです。取り上げられた時の嘆きときたら!

不幸に向かって突き進むガルボの冷たい美貌は冴えていました。

次に見たのは、美貌では勝るとも劣らないビビアン・リーのアンナでした。ビビアン・リーの実人生は悲劇的でしたが、この映画に関しては、ガルボのスケールが上でした。
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グレタ・ガルボ [映画]

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この本は、1982年頃に購入したものです。
題はずばり 『ガルボ GARBO 』アレキサンダー・ウォーカー著 海野弘訳

1905年にスウェーデンに生まれた グレタ・グスタフスン時代からの写真も沢山あって、ガルボのファンにはたまりません。

『魅惑の映画音楽』シリーズにグループ名として頂いていながら、ガルボについてのブログが無いじゃありませんか!

こりゃいかんと 本を引っ張り出しました。

グレタ・ガルボは映画スターです。サイレント時代にスウェーデン映画、ドイツ映画 を経てハリウッドにやってきました。19歳。
契約したのは、あのライオンの咆哮のMGM。

星の数ほどのスターを擁した大手です。

グレタは、英語が出来ず太っていて、無愛想でした。でもカメラを通すと、独特の光を放ちました。MGMは、グレタの髪型を整え、化粧に工夫を凝らし映画を作ってみました。サイレントなので英語はいりません。

こうして作られた『イバニエズの激流』は観客の心をとらえました!
この映画は、澤登みどりさんの活弁付きを見ましたが、凄い洪水(激流)シーンとガルボのあまりの美しさ しか記憶にありません(>_<) ビデオはあるはずなので、再見します。

グレタ・ガルボは北欧のスフィンクス だの神聖ガルボ帝国 だの呼ばれました。

生涯、私生活を明かさず無口を通し、人々の好奇心をくすぐり続けました。後年ニューヨークに住んでいましたが、ガルボハント なる流行があったそうです。散歩に出掛けたガルボをつけていく。
でも、必ずまかれてしまう というものです。

ガルボは、ハスキーボイスでトーキーも乗り越えました。宣伝文句は 「ガルボしゃべる GARBO TALKS」
後には、「ガルボ 笑う」 「ガルボ 踊る」等もありました。

それだけで、宣伝文句になるんです。凄い!

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写真は、ガルボの初トーキー「アンナ・クリスティ」マイクを眺めているガルボと、劇中です。共演のマリー・ドレスラーと。
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日本初のカラー映画 「カルメン故郷に帰る」見ました。 [映画]


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ブログの更新が停滞中です。遡って書いています。

2月16日 映像文化ライブラリーで木下恵介特集の「カルメン故郷に帰る」が上映されたので、見に行きました。

1951年公開の日本初カラー映画です。高峰秀子、佐野周二、佐田啓二 主演です。浅間山の雄大な風景、シューベルトの音楽(黛敏郎 音楽監督)を背景に東京でストリップダンサーをしといる リリー・カルメン がストリップダンサーの友人(小林トシ子)と故郷に錦をかざりに帰る お話ですが……………

木下忠治氏の陰気な主題歌がやたら印象的で、忘れられませんし、田舎の急ごしらえのストリップ小屋での善男善女のリアクションも楽しく、まだまだ貧しい日本のほのぼのとした感じが、ステキな映画です。

高峰秀子さん 歌も踊りも上手いですね。さすが名女優。素晴らしいカラー時代の幕開けでした。
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山田洋治監督 50周年 [映画]


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山田洋治監督の50周年記念展 が広島そごうで昨日から開催されました。

ビオラ弾きと行きましたが、期待以上の展示で楽しませて頂きました。

作品のパネルがメインでしたが、宣伝映像も映画も上映されていて、良かったです。

やはり シリーズ最多の寅さんは圧巻でした。

出来れば、第一作からきちんと全部見たいです。

監督は東日本大震災のあと津波で壊滅的な被害を受けた地に足を踏み入れ、そこで 大漁旗と黄色いハンカチがはためいているのを見て 泣いてしまったそうです。

山田監督の「幸せの黄色いハンカチ」で希望を貰ったという被災者の方が、たてられたそうで、御対面される写真がありました。

多くの人に希望を与える映画を作っておられる監督はやはり 偉大です。

この展示会は来年 1月7日迄開催されます。
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成瀬巳喜男 驟雨(しゅうう) [映画]

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写真のポスターは違う映画ですが、原節子と佐野周二主演 驟雨 を映像文化ライブラリーで見ました。

1956年 日本はまだ貧しかったんですね。市井の夫婦の倦怠期を描いた映画ですが、普通に存在する野良犬や、卵のために飼われている鶏、産めなくなれば鍋に。雑多な市場にチラホラとジューサーミキサーやトースター等の家電が高嶺の花として売られていたり。

原節子の美貌は小津作品以上に輝いていますが、ふて腐れた表情が新鮮に感じられました。白木屋デパート(火災前?)の屋上描写で、貧乏暮らしの服装を恥じているような様子も秀逸。

名女優ですね
佐野周二も胃を痛めた生活に疲れた男を上手く演じていて、美貌の妻と噛み合わない話に、いつも苛立っている様子が見事です。

映画のメインタイトルで流れるピアノの音楽が、不快でした。映画の風景をわざと破壊するように使われていて。音声がキンキンするのは当時の録音のせいでしょうけどね。

でも 最初は違和感ばかりだったピアノも、やがて市井の人々がいろんな事に不満を訴える中のひとつだと解りました。

この頃から騒音公害としてのピアノがあったのだと。

そうすると、不快に感じさせたメインタイトルのピアノ音楽は、素晴らしい映画効果だったのですね。脱帽です。
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